≫キス≪


好きでたまらない。

好きで好きでたまらない。

「めっちゃ好きや……」

唇が離れた瞬間にそんな言葉を紡いでみるけれど、
俺の気持ちを伝えるには全然足りない。

伝えるには、やっぱりこっちや。

「ん……」

再びに口付ける。
上唇をそっと、甘噛むように。

から洩れるため息のような囁きが愛しい。

ほんまに…食べてしまいたいわ。

丸ごと、全部。

「ふ…」

舌に舌で触れる感触が、甘い痺れを生む。

その痺れを拭うように、ゆるく、そしてきつく吸う。

互いの水分が混ざり、満たされる感覚はたまらず。

いつまでも味わっていたくなる。

「…は、…っ…っ」

あかん。

「息、できるか?…」

何時の間にか呼吸の隙を与えないほどに貪っていた自分に気付き、
唇を離してそう尋ねた。

どんだけ余裕なくしてんねん、俺。

けれど待っていたのはそんな俺に対する恨み言でもからかいでもなく。

とのキス、大好き…」
「!」

潤んだ瞳に『だからやめないで』という文字を読み取ったのは
俺の都合の良い思い込みだろうか。

「俺も、めっちゃ好きや。とのキス…」

言い終わるが早いか、俺の唇は再びの元へ。

ずっとこうしていたい。
互いを味わい尽くすまで。

このこんこんと湧く泉のような想いが、尽きるということがあり得るのなら。


end.


…キスマニア忍足氏…(笑)