≫モーニングコール≪


朝、6時15分。
枕の下に入れておいた携帯が震え出す。

「……ん、ああ…わかっとる…今、出るさかい…」

探り当てたボタンを押すと、震動は止まった。

「…もしもし…?ああ、…おはようさん」

愛しい声が受話器の向こうに聞こえ、俺の寝惚けた頭をほぐしていく。

「……ん?…寝てへんて。ちゃんと目ぇ覚めたから安心し」

沈黙を二度寝と勘違いしたが、慌てたように声をかけてくれる。

ああ…ほんま幸せやなぁ…。
毎朝、恋人からのモーニングコールで起きれるなんて、贅沢の極みや。

それもこれも、3日前に目覚まし時計が壊れたお陰だった。

壊れたといっても、単に電池がなくなっただけ。
でももちろん、そのことはに言っていない。

よく考えたら、携帯にも目覚まし機能はあるけれど、そこにも触れていなかった。

もしかしたら、も気が付いていて黙ってる…なんて思うのは。

「自惚れ、やな。……ん?ああ、なんでもあらへん。こっちの話や」

『………』


珍しく、受話器の向こうに沈黙が流れた。

どないしたん?と、聞くよりも早く、

『私、起き抜けのの声、大好き。……それじゃ、またね!』

そして、通話の切れる音。
後は一定感覚の電子音が聞こえるだけだった。

「………なんや、今の…」

大好きやて、俺の、起き抜けの声。
そんでもって、あないに慌てて切りよって………

…めっちゃ可愛えんやけど…」

今頃真っ赤になっているんだろうを思い、俺は思わず呟いた。
頬も緩む。

「…っと、アカン。もうこんな時間や」

俺は急いでメールを打つと、シャワーを浴びるために立ちあがった。


『起き抜けのの声、今度俺にも聞かせて?』

もちろん直接…な。


end.


起き抜けの忍足氏の声はかーなーりセクシーボイスでしょう…ッ!!
思わず、力説(笑)