≫ポイント≪


「ふふーいっぱい貯まってきたなー」

財布の中からなにやら取り出したがほくそ笑む。

「なんやの、それ」

俺はの背中越しに首を伸ばし、手元を覗き込んだ。
握られていたのは、1枚のカード。

「ん?これはねー、駅前スーパーのポイントカードなのだ!」

えっへんとふんぞり返ったをそのまま胸に抱き込むと、
俺はしげしげとそのポイントカードとやらを眺めた。

表面に最後に買い物をした日と、3458という数字が印字してある。

「すごいでしょ!これ、1ポイント1円で買い物できるんだよ」
「なんやて!?そない言うたら、これで約3500円の価値があるんか!?」
「そうだよーお得でしょ」
「そらお得や…!」

アカン、関西人の血が騒ぐっちゅーねん。

「他にもね、ほら、これが薬局のカードでしょ、こっちがカラオケでしょ、それから…」

次々と出てくるカード達は、どれもそれなりにポイントが貯まっている。
…自分、大阪のおばちゃん並に買い物上手やで…!

「なんやええなー。俺も欲しいわ、ポイントカード」

自慢げな恋人の様子を見ているうちに羨ましくなって、わがままを言ってみる。

「え?欲しいって…」
が作ってくれればええやん」
「へ!?作るの!?」

咄嗟の思い付きにしては、ええアイディアやと思わへんか?
俺はさらにごり押しした。

「ほら、今日やって部活の帰りに牛乳買うてきたやんか。1ポイントもんやで?」
「もー…しょうがないなぁ」

は苦笑しながら自分の名刺を取り出すと、裏にシャチハタではんこを押してくれた。

「はい、どうぞ」
「おおきに」

がんがんポイント貯めるで!と意気込む俺に、はふと首を傾げた。

「ね、でもそれって貯まるとどうなるの?」

待ってました、や。

「ん?10ポイントでキスやろ、20ポイントで添い寝やろ、30ポイントで……
 …あーアカン!これ以上はとても言えへんっ」

大げさに顔を覆った俺を見て、は声を上擦らせた。

「ば、馬鹿!」

そないに真っ赤になって言われたかて、全然効果あらへん。

俺はもらったばかりのカードを大事にしまうと、にんまり笑って言った。

「ほんまにお得なカードやんなぁ?貯める前から笑ろてまうわ」

関西人のお得にかける情熱をが思い知るのは、それからわずか1週間後のこと。

ま、お得以外の要素も十二分に関係したんやけどな。
観念しぃや、


end.


私は某焼肉店のポイントカードがもうすぐ3000ポイントになります!(笑)
お得に肉祭りだーいっ♪